

うなぎ豆知識
TRIVIA
【Q.1】日本でうなぎはいつごろから食べられているの?
A.江戸時代 B.平安時代 C.縄文時代
A.江戸時代 B.平安時代 C.縄文時代
【A】C.縄文時代
縄文人も愛した? 5000年前から続くウナギと日本人の深い縁
ウナギと日本人の歴史は、なんと5000年以上前にまで遡ります。
全国の縄文時代の遺跡からは、ウナギの骨が数多く発見されています。特に東京湾や仙台湾周辺の遺跡では、その出土量が顕著です。
これらの地域は、ウナギの回遊経路となる黒潮が流れる場所に位置しており、当時の人々が川や河口で手軽に手に入るウナギを貴重な栄養源としていたことが分かります。
驚くべきことに、最北端の北海道の遺跡からもウナギの骨が見つかっています。現代でも稀に北海道でウナギが獲れることがありますが、約4000年前の縄文中・後期には、黒潮に乗ってシラスウナギが北海道までたどり着けるほど温暖な気候だったことが伺えます。
縄文時代といえば、狩猟採集のシンプルな生活を想像しがちですが、彼らは栗を栽培し、クッキーやパン、果実酒を作るほどの食文化を持っていたと言われています。
もしかすると、ウナギも工夫を凝らして調理していたのかもしれません。焼いたのか、煮たのか、それとも何か特別なタレを使ったのか…?
日本人の食への探究心は、縄文時代からすでに息づいていたのかもしれません。現代の蒲焼を頬張りながら、縄文の食卓に思いを馳せてみるのも楽しいですね。
【Q.2】地球上にうなぎが現れたのはいつ頃から?
【A】なんと数千万年前。
ウナギは生きた化石? 数千万年の時を超えて受け継がれる神秘
私たちが普段口にするウナギのルーツは、なんと数千万年前にまで遡ります。
最新の研究によると、ウナギの祖先は深海魚であり、一説によると、約1億年前にボルネオ島周辺の川へ遡ったものが、最初のウナギになったとされています。川で成長したウナギは、産卵のために海へ戻るという習性は、その当時から現在まで受け継がれています。
分子系統学の研究によれば、最も祖先的なウナギはアフリカ大陸東岸に生息するアンギラ・モザンビカという熱帯ウナギであると考えられています。しかし、別の研究では、ボルネオ島固有のアンギラ・ボルネンシスこそが最古のウナギであるという説もあります。
いずれにせよ、ウナギが熱帯域で誕生したことは間違いありません。
インド洋・太平洋の熱帯域で誕生したウナギは、西向きの海流に乗り、スエズ地帯を超えて地中海や北大西洋へ広がりました。その子孫がヨーロッパウナギやアメリカウナギになったのです。
一方、東向きに移動したウナギは、太平洋の島々を経てタヒチにまで分布を広げ、南北方向にも拡大しました。西太平洋を北へ進んだウナギがニホンウナギの祖先となり、南へ向かったものはオーストラリアやニュージーランドの温帯ウナギへと進化しました。
私たちが口にするウナギが、どれほど長い歴史を持つ生き物なのかを知ると、その味わいもまた一層深く感じられるのではないでしょうか。
【Q.3】うな丼を考案したのは実はうなぎ屋ではない?
【A】一般人だといわれています。
うな丼の起源は鰻屋にあらず? 意外な発祥秘話に迫る!
手軽でおいしい丼もの。牛丼、カツ丼、親子丼など、様々な丼がありますが、そのルーツは「うな丼」にあると言われています。
江戸時代、人々は「どんぶり」といえばうな丼を思い浮かべるほど、うな丼は庶民の間で親しまれていました。
日本の食文化を牽引してきたと言える鰻ですが、うな丼を考案したのは、意外にも鰻屋ではなかったという説があります。
「俗事百工起源」(宮川政運・1865年刊)によると、うな丼は江戸時代の文化年間(1804~1817年)に、日本橋の堺町(現在の東京人形町)で、芝居小屋の出資者であった大久保今助が考案したとされています。
大の鰻好きだった今助は、近所の鰻屋から毎日出前を取っていました。鰻が冷めてしまうのを防ぐため「熱いご飯を丼に盛り、ご飯の間に鰻を挟んで届けてほしい」と注文したところ、鰻は冷めない、ご飯にはタレが染み込んで美味しくなるという、まさに一石二鳥な食べ方だったのです。
この食べ方は評判を呼び、大野屋は「元祖うなぎめし」として売り出したところ、大繁盛したと言われています。
うなぎ屋ではなく、一人の食通によって考案されたとされるうな丼。鰻の食文化の奥深さに触れると、また違った角度から鰻を楽しめるかもしれませんね。
【Q.4】養殖のうなぎはオス・オスどちらが多い?
【A】圧倒的にオスが多い
ウナギの性別はミステリー? 環境によって変わる不思議な生態
ウナギの性別は、生まれた時から決まっているわけではありません。なんと、環境によって性別が変わるという不思議な特徴を持っているのです。
天然のウナギは、川を遡上する頃はすべてオス。その後、海にたどり着くまでにメスに性転換するものが現れるようです。
一方、私たちが普段口にする養殖ウナギは、ほとんどがオスです。
現在主流のハウス養殖では、高水温・高密度という環境でウナギを育てるのですが、ウナギが性別を決定する時期までにストレスがかかり、オスに偏ってしまうと考えられています。
しかし「三河一色めすうなぎ研究会」が、長年の研究の末、初めてメスのニホンウナギジャポニカ種の安定育成に成功しました。
2024年、この画期的な技術により満を持して世に送り出されたのが「三河一色産幻のめすうなぎ艶鰻」。
その特徴は、ふんわりと柔らかな身や際立つ脂の旨み、香ばしくて柔らかな皮。うまみ成分であるグルタミン酸は従来の鰻の1.5倍も含まれる逸品となりました。
【Q.5】現在食べられている鰻の中で天然ものは何%?
【A】0.5%ほど
天然うなぎは幻? 私たちが口にする鰻の真実
鰻といえば、夏のスタミナ食として思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。うな重やうな丼など、様々な料理で楽しめますが、実は私たちが口にする鰻のほとんどは養殖ものです。
天然の鰻は漁獲量が少なく、全体の流通量の0.5%にも満たない希少な存在です。天然鰻が獲れる時期も限られており、主に5月から9月頃まで。そのため、鰻専門店で提供される鰻も、ほとんどが養殖ものです。
「天然鰻」を謳う店でも、年間を通して天然鰻だけで営業するのは難しいのが現状です。多くの店では、養殖鰻をメインに、夏場に天然鰻が入荷した場合のみ提供しているようです。
かつては天然鰻が中心だった流通も、今や養殖鰻が主流となり、安定供給を支えています。
天然鰻と養殖鰻、どちらが美味しいかという議論は尽きませんが、それぞれに特徴があります。天然鰻は、引き締まった身と豊かな風味が特徴と言われますが、近年、食味の差は小さくなっているという意見もあります。一方、養殖鰻は、ふっくらとした身と安定した品質が特徴です。
いずれにしても、私たちが今でも気軽に鰻を楽しめるのは、養殖技術のおかげと言えるでしょう。